恋心
      
- extra -

アリオスは撮ったばかりの映像をモニターでチェックしながら首を横に振った。
「撮り直しだな…」
「ええ〜」
すでに半泣き状態のアンジェリークが頬を染める。
「おいおい、何回見せつけるつもりだ?」
オスカーがからかい混じりの声をかけるが、アリオスは少女を
見下ろしながらさらりと言い返した。
「こいつに聞くんだな。
 ちゃんとできれば俺は一発でOKだすぜ?」
「……ごめんなさい…」
アンジェリークはしゅんとうなだれて呟いた。
そんな少女の頭をぽんと叩き、アリオスはモニターの前からセットの中へと移動した。
アンジェリークもその後をついていく。

「お前、がちがちに緊張しすぎなんだよ。
 昨日の夜はもっとイイ顔してただろ?」
「っ…」
彼の視線と笑みにいやでも昨夜のことを思い出し、
アンジェリークは瞬時に湯気が出そうなほど赤くなった。
そんな初々しい仕種を彼は楽しそうに見つめている。
「アリオス…監督…」
「なんだ?」
困りきった表情で、それでも睨み上げる姿はとても可愛らしい。
「もしかして…楽しんでる…?」
撮影を。少女の恥ずかしがる姿を。
どちらとは言わずに問う少女にアリオスは不敵な笑みで答えた。
「こんな中途半端なキスで俺が楽しめると思ってんのか?
 次で決めなかったら撮影だろうと本気のするからな」
「なっ…」
「それが嫌なら次で決めろよ?」
俺はどっちでもかまわねぇが。
そう喉で笑う青年にアンジェリークは悔しそうに頬を膨らませた。
「絶対…絶対、楽しんでる〜」

結局アリオスの『脅し』のせいか…
アンジェリークは次で無事にOKシーンを撮ることができたとか。


                                 〜 fin 〜


これはですね…。
一応、本編でアンジェが告白した後の
撮影シーンのつもりで書きました。
アリオスさん、絶好調…というかこんなんばっかり(笑)

本を買ってくださった方のおまけ創作として
お渡ししていたのでこちらも一緒に公開です。

買ったけれど運悪くペーパーがなくなってしまった…
という方もいらっしゃったのでここで
読んでもらえたのなら幸いですv


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