『古代の遺産を守った人達 』

   渋谷 勝次   
 一千年の歴史の建造、仏像、奈良・京都は日本国民の心のふるさとであり誇りでも有る。今年も8月6日が来て、広島や長崎で原爆三十三回忌の慰霊祭が盛大に行われた。
 当時原爆投下候補地の京都、奈良、横浜が無きずであったのは、裏工作に人類の宝を守る米軍の陰に日本美術を愛した指導者の一人スティムソン陸軍長官があったからである。長官は大正年間夫人同伴で京都の秋を訪れ、京都の美しさを味わった事もあり、原爆目標地選定委員会で、目標地に京都、奈良のあるのを知り反対を唱えるトル−マン大統領の了解を得て目標地からはずさせた。日本美術研究家ウオ−ナ博士だったとされる。
 昭和20年11月11日付朝日新聞に京都を救ったのはウオ−ナ博士ですとあった。アメリカの政治判断で日本文化財が守られたが、20年8月6日広島、続いて9日長崎に原爆投下、両都市で死傷者30万人にものぼった。
 自分の体がもう一度快くなったら、奈良の建造物を見学したいと思っております。

                                     第23号(昭和52年)
 
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