『アリオス・・・』 驚愕の表情を浮かべ、瞳を見開いたまま立ち尽くし、 けれど・・・確かに掠れ声で呟かれた言葉。 天使の名を持つ少女が、俺の名だと言って教えてくれた音。 それが、見知らぬ青年の唇を震わせて、低く落ちる。 それっきり目の前の相手は動こうとはしなかった。 ・・・もしかしたら、動けなかったのかもしれない。 ナゼだ・・・? 初対面のはずなのに名前を知っていることよりも、ソイツの その態度が・・・、驚愕の中にどこか喜色を湛えて見える表情が気になった。 俺は・・・コイツに会ったことは無い。コイツの声を聞いた覚えも無い。 初めて約束の地でアンジェリークに出会った時のような、 微かな見覚えすらも、目の前の相手には抱けなかった。 それは、俺のすぐ傍らで乱れた金髪を直している少女についても同じだ。 騒々しさから、いつもは敬遠していた天使の広場にやって来たのは、ただの 気まぐれ。噴水の前で立ち止まっていたのは、跳ねる水しぶきと虹の輪が 涼しげに見えたから。 そんな俺の前で、はしゃぎながら駆けて来た少女が躓いたのは、偶然の 産物にしか過ぎないだろ。目の前で転びかけたから反射的に手を出した。 俺にとっても、ただそれだけの事だ。 だが、2人は俺の事を知っているようだった。 『どうも、ありがとう。・・・あら?』 体勢を整え、礼を述べながら見上げて来た金髪の少女は、驚いたように 瞳を見開いて、次にふわりと笑った。 『ふふっ、お久しぶりね』 ニッコリと、花が開くようなその笑顔は、愛しい少女の持つ柔らかさに よく似ていて。すぐに踵を返さなかったのは、たぶんそのせいだろうと思う。 少女のすぐ後ろで、手を差し伸べようとしたままの姿勢で固まった青年に 気付いたのは、少女を真っ直ぐに立たせてやってから。 『アリオス・・・』 聞き覚えの無い声。見覚えの無い2人。 記憶を探ってみても、彼らの姿が出て来る事は無い。 けれど・・・あの一瞬。 『誰だ、あんた?』 そう、問いを落とした瞬間の彼の表情を、歪んだアイスブルーの瞳を 見た一瞬だけ、胸の奥が騒いだような気がした。 「あれも・・・俺が過去に関わったヤツ・・・か?」 数日前に、天使の広場で会った2人。 ココに落下して来る途中、パラソルから溢れたシャボン玉の中に、 確かに見た青年。ソイツら・・・いや、ソイツの事を思い出したのは、 敷き詰められ整えられたレンガ造りの路の両脇に、美しく咲いた 真紅のバラを見たせい。 ナゼか、はわからないけれど、バラの花を見たとたん急に思い出しちまった。 真紅の鮮やかさが、あの記憶の中の青年の髪の色と同じだからかもしれない。 ・・・ちなみに、当の赤バラは、ナゼか常識を覆してこんもりと茂った木に 生えているんだが・・・。その事について俺は、考えるどころか 疑問を覚えるのもやめていた。 視線が注がれるのは、あくまで赤い髪の青年を思い出させるバラの花弁のみ。 「俺が忘れているだけ・・・か?」 見覚えのない2人。見知らぬ他人。 けれど、そう思ったとたん、ナゼか胸が痛む。 シャボン玉の中に見た、屈託無く親しみを込めて笑いかけるソイツと。 記憶に新しい、切ない痛みを湛えたソイツと。 正反対の顔を見せるそれらが過ぎったとたん、痛みはわずかながらも 強くなった気がした。 ・・・考えたところで、思い出せねぇもんは思い出せねぇんだけどな。 ・・・なのに、気になるのは何でだ? なぜ気になるのか。それも、相手は男だ。 天使の名を持つアイツのように愛しさを感じさせるわけでもなく、 離れがたい何かを感じるわけでもなく、ただ、つい最近出会ったというだけの。 だが、その姿を思い浮かべれば、焼きついてしまったアイスブルーの瞳に胸が痛む。 わけのわからない痛みに、俺はレンガの路を歩きながら、思い出せない記憶を 改めて探ってみた。だが、やはりあの男についての記憶は何も無い。 何も無いのが、ナゼか罪悪のように思えてしまうから不思議だ。 「過去・・・記憶・・・か」 呟いて、ふと思う。 そう言えば、さっき会ったヤツラも、妙に引っかかるヤツラだった・・・。 その『ふざけた存在が』では無く、どこかで見たような・・・知っているような・・・。 もしも知り合いだったなら、問答無用で縁を切りたくなるような 珍妙なヤツラだったが。 「・・・ハッ、考えただけで記憶が戻りゃ苦労はねぇか。それに、そんな場合じゃねぇ」 そう、今の最優先事項は、記憶を探る事じゃない。 今はとにかく、アイツを見つけ出して、捕まえて、そして・・・・・・・・・ん? なんだ? 前方。真紅のバラ木立(?)を見据えて、俺は眉間にシワを寄せる。 ずらりと並んだ木立に咲くバラは、全てが真紅。 しかし、根元にちょこまかと動く小動物を従えた前方のバラだけは、真白。 ちょこまか・・・いや、ユラユラと前後に揺れる小さな影に、俺は一瞬 『アンジェリークか!?』と期待して駆け寄ったんだが・・・、直に見えて来た その姿は、愛らしいピンクのウサギとは遥かにかけ離れたものだった。 白クマとも見紛う巨漢のウサギよりはマシなんだが、どう見てもグレーの その体はハリネズミ。しかも、イモムシ同様の着ぐるみらしい。 腹にちゃんと『ハリネズミ』って書いてあるんだから、間違いねぇ。 それが、白バラの下で一生懸命に腹筋運動をしている。 ・・・・・・いや、着ぐるみのせいで、仰向けに転がったまま起き上がれねぇだけか。 「ど、どうして起き上がれないんだろう・・・。ぼ、僕の何がいけないのかな・・・?」 「お前の何がってより、単に背中が丸まってるせいじゃねぇのか? カメが起き上がれねぇのと同じ原理だろ」 「そ、そっかぁ。カメさんと一緒なんだ・・・」 俺の答えに、幼いハリネズミ少年はしみじみと納得したようだ。 が、見下ろす俺にハタと気付き腹筋運動を止めると、ライトブルーの その目を真ん丸にする。 「あっ、レ、レヴィ・・・っ!」 「は?」 「あ、え、ええと・・・あの・・・アリオス・・様?」 「『様』はともかく、俺の名前は確かにアリオスだけどな」 コイツもかよ・・・と思いつつ、さすがに子供が引っくり返ったカメ状態で いるのは哀れなので、手を貸してやる。 「あ、ど、どうもありがとうございます・・・」 「別に、礼なんかいい。それより、聞きてぇ事がある。ココに・・・・・・」 そこで、俺はちょっと考えた。 あの気の利かねぇボウシ屋と同じ間違いを、繰り返させねぇために。 「ピンク色の服を着て、栗色の髪をした、17歳くらいの、華奢で可愛い 少女の姿をしたウサギが来なかったか? 間違っても、デカくて白クマみたいな可愛げのねぇヤツじゃねーぞ。 小さくて愛らしいピンクのウサギだ」 一息に言えば、ハリネズミはパチパチと瞬きする。 「え、ええと・・・可愛いウサギさんなの? あの・・・大きくないウサギさん?」 「そうだ。大きくなくて、最高に可愛いウサギだ」 半分くらい、俺はヤケっぱちだった。 残り半分は、本気だが。 だが、問われたハリネズミは、「可愛いウサギさん・・・」と神妙に呟くと、考え込むばかり。 どこまでも、どこまでも、どこまでも(以下略)・・・・・・・・・考え込んでいる。 「・・・あのな。見てなきゃ見てないって言えばいいんだぜ?」 「あ、ごっごめんなさい・・・。あの・・・僕、バラの花を塗るのに一生懸命で・・・」 つまり、後ろを通ったかもしれないが、バラの花に夢中で 全く気がつかなかったかもしれない、って事か? 不器用そうなハリネズミの言い分に、俺は「なるほど」と納得した。 しかし、バラの花を塗るってのは、いったいどういう意味だ? 何気なく、1本きりの白バラの木を見上げ・・・・・・見下ろす。 根元にチョコンと置き去りにされているのは、赤いペンキ入れ 「・・・なるほどな」 よ〜く見てみれば、下の方・・・つまり、ハリネズミの手の届く範囲のバラは、 白じゃなくて赤い。ところどころに紅白マダラ模様なのも混じっている。 ・・・けど、バラって塗るものだったか? 後に俺は、この時の疑問を年端もいかないガキと色狂いの男の両方に 真っ向否定されて呆れられるんだが・・・、今の俺にとってはバラが 塗るものだろうが食うものだろうが、どうでもいい事だ。 バラを育てた覚えもねぇし、この先、育てるつもりもねぇからな。 結局、俺は『まぁいいか』で片付けた。 そんな俺の視界の中で、ヨタヨタしていたハリネズミは、赤いペンキが たっぷりついたハケを持ち作業を再開しだす・・・・・と見せかけて、 再びコロンと転がっちまった。 どう見ても、身長が足りない。しかも、背中に甲羅・・・じゃなくて、 プニプニの丸みを帯びたゴム製剣山を背負っている状態なので、 身体バランスも悪い。その状態で仰け反るように腕を上に 伸ばせば、引っくり返るのは当たり前だろ。 「ど、どうしてなのかなぁ・・・。こ、転がってばかりなんだけど。 カ、カメさんと同じだから、いけないのかなぁ」 「・・・あのなぁ」 なんでわからねぇんだ、コイツは・・・。ソコまでマヌケじゃねぇだろうが。 「んな、丸まったモン着てるからだろうが。 だいたい、なんでお前がそんなモン塗ってるんだよ? 保護者はどうした」 「え? あ・・・あの・・・僕、本当はクロッケーのボールになる予定で・・・」 「クロッケー? あの、クラブでボールを転がす、ゲートボールみてぇなヤツか?」 突然出て来た意味不明な単語に、正直戸惑いはしたんだが、 そのクロッケー・・・じゃなくてゲートボールがアルカディアの老人たちに 流行中なため、ついつい俺はソチラを想像してしまう。 まぁ、大幅に間違ってはいないだろう。・・・たぶんな。 「えと・・・そ、そうだと思う・・・。あっ、思います」 「別に、俺に敬語使う必要はねぇよ。で? なんでソレのボールにお前がなるんだ?」 コロコロした着ぐるみの体は確かによく転がりそうだが、相手は子供。 だが、ココの常識は違うらしい。 「ハ、ハリネズミは・・・ボールになるのが、当たり前だからって・・・。 ペリカンさんがクラブになるのも当たり前だって・・・。 で、でも・・・ユージィンが、そんな事は許しませんって言ってくれて・・・」 そりゃ、そうだろう。 年端もいかない少年を、それもこんな気の弱そうな子供をクラブで 叩いたりしたら、間違い無く児童保護法に触れるぜ。 その前に、俺の前でコイツを殴るような真似してみろ、即行で簀巻きにして川に流すぞ! なぜ、そんな風に思ったのか。コイツはココで初めて出会った、それも ハリネズミの着ぐるみなんて珍妙なモノを着たヤツなのに。 俺はそんな不思議にはまるで気付かずに、ハリネズミの言う『ユージィン』とやらに 賛同しながら、小さくなっている少年と草の上に転がったままのハケを見下ろした。 「で? ソレとコレがどう繋がるんだ?」 答えは、目の前のハリネズミではなく、バラ木立の向こうの 少し離れた所から飛んで来た。 「クロッケーのボールにする代わりに、ハートの女王が彼に、トランプ兵たちと 一緒に塗り残しのバラを赤く塗るよう言いつけたのです。 けれど、トランプ兵たちは女王に呼ばれたせいで行ってしまい、ルノーだけが 取り残されてしまったのです。その結果、あのように転がる羽目に・・・」 「・・・・・・概要はよ〜くわかったぜ。 けど、それだけわかってるなら、なんで手伝ってやらねーんだ」 バラ木立の向こう、木が林立する辺りへと顔を向けて、俺はソコにいる 答えをくれた人物に非難の眼差しを注ぐ。 とたんに、ソコにいた人物=人面イモムシは真っ赤な顔で叫んだ。 「誰のせいだとお思いですかっ!!」 ・・・俺のせいか? どうやら、イモムシは哀れなハリネズミを手伝いに行こうとした らしい・・・・・・んだが、手伝いに行こうとした矢先にヤツの言う 『不幸の元』=『俺』に会っちまい、結果、その場に拘束される羽目に なったらしい。 ・・・そう言えば、ヤツをカーテンで括り上げたまま解いてやるのを忘れてたな。 そんな風に俺が記憶を掘り返してる間にも、イモムシはその場で天 を仰いだまま、サメザメと目の幅涙を流していた。 ハリネズミも転がってユラユラやってたからな、コイツら2人揃って誰にも 助けが求められなかったんだろう。 近づいてよ〜く見てみれば、確かにイモムシのシッポの先は背にした 木のウロに吸い込まれて見えなくなっている。 なるほどな。あの小さな扉は木のウロに繋がってたのか・・・。 なんだ、コイツを拘束したのはやっぱり俺か。 俺はスッキリと納得した。 「納得してないで、なんとかしてくださいっ!!」 「・・・なんとかしてください、って言われてもなぁ」 視線を下にやって、俺はそのギュウギュウに詰まったシッポと木のウロに 嘆息する。これだけギュウギュウに詰まってりゃ、手を突っ込んで カーテンを解くのはムリだろ。 そうしたのは俺だけどよ。 「ううっ・・・あなたにお仕えして十年。 振り回されて死にそうな目に遭うのは日常茶飯事で、それどころか 気苦労で胃に穴が開いたり、500円ハゲができてしまった事は 1度や2度じゃ無く、死んだその後もあなたを見守り続けて魂を すり減らして来たと言うのに、ついにはこんな・・・こんなマヌケな 仕打ちをなさるなんて・・・」 サメザメと泣き崩れるイモムシ。 「仕えられた覚えは、さっぱりねぇんだが・・・」 覚えは全くねぇが、不幸と苦労が滲み出てるヤツだな・・・って印象に、 うんうん頷く俺。 取りあえず、生き方が不器用なのは、この状態を見ていればよくわかるぜ。 ついでに、自分の事になると全く気付かないヤツである事もな。 過去に、苦労性なイモムシと関わりがあったらかなりイヤだな・・・などと 思いつつ、俺は腕組みしたまま、目の前でサメザメと泣くイモムシを 見下ろして深い溜め息をついた。 「あのな、気づいてねぇようだから教えてやるけどよ、お前が着てるソレって 着ぐるみだろ。・・・・・・脱げばいいんじゃねーのか?」 そう。縛られている=俺が縛ったのは着ぐるみのシッポの部分であって、 目の前の人物の生シッポじゃねぇはずだ。 ビチビチ跳ねてたところから判断するに、中に足が入っているんだろうが・・・。 コレだけのモコモコ感だ、足を引っこ抜けない事はねぇだろ。 そして、引っこ抜けば事態は収拾する。 ・・・なんでソコに気付かねぇかな。 ホント、自分の事になると気が回らねぇっつーか、鈍くなるっつーか。 相変わらずなヤツだぜ。 まず間違い無く、戦場に出たなら味方の安否に気を回し過ぎて 当たらなくてもいい流れ矢に当たるタイプだ。 よくあんな戦場で十年も生きてたもんだぜ。 そう、妙な感心を覚えながら、俺はイモムシに興味を失ってクルリと背中を向けた。 もちろん、何で自分がそんな感心を覚えるのか、まるで気付かぬままに。 そして、さっさと歩き出そうとしたのだが・・・。 「申し訳ありませんが、アリオス様・・・」 「・・・なんだよ? まだ、何か用か?」 「・・・実は、チャックが背中に・・・。 それに、私の手は着ぐるみの中にありまして・・・」 「・・・・・・」 なんで、自力で脱ぎ着できねぇモノを着るんだよ! よっぽど蹴飛ばしてやろうかと思ったが、コイツをこんな目に遭わせたのは 間違い無く俺だ。仕方ねぇから、俺は額を押さえて溜め息を吐き出しつつ、 背中のチャックを下ろしてやろうとした。 ・・・イモムシに纏わり付いた不幸は、ソレを許さなかったが。 「・・・何やってるの? ルノー。もう、裁判が始まるんだけど・・・」 「あっ、あっ、ショナ。ま、また転がっちゃったんだ・・・」 「君って、相変わらず鈍くさいんだね・・・。 裁判に遅れたらハートの女王が怒ると思うよ? 今日の裁判は特別なモノだって言って、ウキウキしながら裁判長席についてたから」 「と、特別なの? 特別が・・・裁判するの?」 「・・・『特別』がどうやって被告人席に立つのさ。 被告人は、栗色の髪の時計ウサギみたいだよ。 どうやら遅刻したせいで女王の逆鱗に触れたらしいけど」 俺が背を向けている間に、またもや転がっていたハリネズミ。 いつの間に現れたのか、ソレを起こしてやる、トランプの箱の着ぐるみを着た 金髪の少年。また変なヤツが増えた・・・。 そう思いつつ、俺は聞き慣れない単語に怪訝そうに首を傾げていた。 「裁判? ・・・なんだそれ?」 こんな奇っ怪な無法地帯にも法なんてモノがあるのか。 だったら、まずあの露出狂を取り締まれよ。 そんな事をつらつらと考え、例の露出狂を思い出して眉を寄せて いたんだが・・・。トランプ少年の言葉を反芻していた俺は、最後の言葉に 行き当たった瞬間、目を剥いた。 「なんだとっ!!?」 栗色の髪。時計ウサギ。遅刻。 そこから導き出される人物像は、1つしか無い。 しかも、被告人だと? 裁くってのか、アイツを!? 何がどうなってるのかイマイチだが、『アイツが裁判にかけられる』、 それだけわかれば充分だ。 裁判。 その言葉に、俺の心臓は勝手に早鐘を打ち出した。 ナゼか、はわからねぇ。けど、嫌な予感が、嫌な映像が見える。 裁判。その言葉に続いて俺の胸に押し寄せるのは、荒涼とした広場で 繰り広げられる斬首の光景。 ギロチンが落ちる音。俺の前に並べられる、死した塊。 9つの・・・首。 「冗談じゃねぇ!!」 叫んだ時にはすでに、俺はバラ木立を蹴り倒しかねないスピードで、レンガの 路を走り出していた。 途中、ハリネズミの「ひゃあぁ!」などと言う悲鳴と、クルクル回る姿を 見たような気もするが、気にしてられるか! もちろん、哀れなイモムシの事なんか、頭の片隅にさえ無かった。 ひたすら、前方に見える巨大な城を見据えてレンガの路を走り抜け、途中に 立ちはだかった生垣の迷路は直線コースで体当たり。 器物破損の前科を増やしながら、城の大扉まで辿り着いた俺。 その前科をさらに増やすべく、勢いのままに頑丈な扉を蹴り破る。 アイツを救い出す、その為だけに。 |