戸田社会保険労務士事務所

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 戸田 勝之
 (社会保険労務士)

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賃金制度の目的を再確認する

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賃金等の報酬制度は、その額を合理的に決定するためのものではなく、会社の経営目標達成のために頑張る人を育てる仕組みであると私は考えます。

賃金制度の目的を再確認する
人事制度とは企業を存続・強化・成長させるための経営目標(原因)を明らかにし、どんな従業員になって欲しいか、どんな意識を持って欲しいかという従業員の成長する方向性を明確に示し、従業員がそれを意識し、経営目標達成のための行動をとること(結果・原因)により、経営目標が達成できる(結果)という状態を継続的に作り出すための原因と結果の好循環を構築することであると私は思います。

米国の心理学者ハーツバーグは職場の動機付けの対象となる諸要因には、人々に満足を与える「動機付け要因」と、人々に不満を起こさせる「衛生要因」の二つがあると理論付けました。

動機付け要因=達成、承認、仕事そのもの、責任、昇進、成長
衛生要因=会社の政策と管理、監督、監督者との関係、作業条件、給与


賃金は保障を意味し、十分でなければ従業員に不満を起こさせる要因にはなるが、十分であったとしても従業員の意欲の向上にはつながらないとしました。

一方、チャレンジングな仕事をする達成感、他から認められ賞賛されていると感じること、より大きな仕事を任せられた時に感じる責任などが、意欲的に働くためには必要なのであるとしました。

意欲を引き出すには仕事そのものが報酬になりうるということだと思います。

企業経営者は常に現状に満足せず、将来のあるべき姿を描き、経営課題・経営戦略を設定していくことで、従業員にチャレンジングな仕事を与えられるようにする必要があると思います。

中小企業は不安定でリスキーな場です。しかし、そこで働くことは、仕事のやりがい、任されがいをといった点で大企業にはない良さがあるといえます。

「働く場としての中小企業の独自性は、中小企業で働く人々にとって、そこには自分や企業の位置が「見える世界」であるということである。大企業ではそれぞれの個人の行動は大規模な組織のごく一部を構成するにすぎず、それに対して中小企業は、そこで働く個々の人々の日常的成果が、直接企業の成果とどのように関わっているかが見えやすい。営業担当者の受注開拓の成功が、企業全体の業績向上に直結し、現場労働者の生産ラインでの新たな工夫1つがその企業の競争力向上に直結しうるのが、中小企業なのである。それゆえに、個々人の失敗が企業の存続そのものを否定するようなことにもつながりうる場なのである。やりがいゆえの厳しさが存在する場なのである。」

(渡辺幸男・小川正博・黒瀬直宏・向山雅夫著「21世紀中小企業論」有斐閣アルマ P7〜15より抜粋)

中小企業経営者は中小企業であるがゆえのストレートなダイナミズムを認識し、従業員に対し、会社のビジョンと経営目標を示す責任があります。将来をより「見える世界」にするのです。そして、ゴールを示し、やるべきことを明確にする責任があると思います。
  • ゴールを示し、チャレンジさせる(仕事そのものやりがい)
  • チャレンジして成し遂げる感覚を味わわせる(達成感)
  • チャレンジして成功した従業員を認め、褒める(承認、賞賛)
  • 次により大きな仕事を任せる(仕事そのもののやりがい、責任の重さ)
  • より重い役割を与える(昇格、成長)
賃金・賞与等の報酬制度は、その額を合理的に決定するためのものではなく、会社の経営目標達成のために頑張る人を育てる仕組みであると私は考えます。

賃金・賞与等に経済的価値以外のメッセージを持たせていくことが問われていると思います。

 

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