戸田社会保険労務士事務所

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人事制度としての再生を目指して

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退職金制度を人事制度としてどのように再構築していくかが問われていると思います。私の考えるリニューアル案をご提示いたします。

人事制度としての再生を目指して
そもそも退職金制度は必要なのか。この質問は退職金制度の見直しを考えるうえで避けては通れないものです。

退職金制度の問題点は次の通り整理できます。

  • 長期決済型であるため、成果主義、時価主義との関連性が低く、インセンティブ機能を持たせづらい。(20年、30年後に賞与をもらってもピンとこない)
  • 終身雇用対応型であり過度の定着促進機能を果たしている。(定年退職で金額マックス。途中で辞めると損。)
  • 経営のメッセージが伝わりにくいため費用対効果が小さい人事制度である。(あって当たり前。企業業績との相関が低い。)
    (吉田寿著「人事制度改革の戦略と実際」日本経済新聞社 P245〜249をもとに作成)
この指摘は的確です。これらの問題を克服し、退職金制度を人事制度としてどのように再構築していくかが問われていると思います。

私は中小企業が従来型の「白紙の小切手」である基本給比例方式を維持することには反対です。基本給比例方式は年功序列であり貢献度を反映しにくいこと、世代間の不公平があること、現在の金利情勢では現行の退職金制度を維持することが企業の存続にとって大きなリスクになっていること、制度を維持すると賞与や昇給を抑制せざるを得ないことがその理由です。

しかし、廃止や前払い制などは中小企業にとっては適切ではないと考えています。それは、大企業の前払い制は他の退職金(企業年金)制度との選択制だからです。中小企業は賃金水準が低いため前払い化した当初は賃上げ効果が出ますが、時間が経つとその効果が薄れ、従業員の不満の素になる可能性があります。中小企業を取り巻く事業環境は常に厳しくリスキーです。企業の存続に関わるような問題が発生した際に、人員整理が必要となるかもしれません。解雇する従業員に退職金を前払いにしていたと言って理解してもらえるでしょうか。

また、前払い化は雇用をより流動化させる機能を持っています。今以上従業員の出入りが激しくなるということです。御社にとってそれはメリットがある制度でしょうか。

私の考える退職金の人事制度としてのリニューアル案を次に述べます。

退職金は経営幹部を定着させる制度と位置づける

中小企業は大企業と異なり、中途採用・中途退社が多く、雇用の流動性が高いことが特徴です。意識していないと経営幹部となるコアな従業員が育ちません。雇用の流動化が進んでいる米国企業でも優秀な幹部を定着させるために敢えてストックオプションや現物株の付与を行っています。中小企業ではコアな従業員の定着を図るという観点から退職金制度は今後も必要だと私は考えます。

掛け算方式より足し算方式が良い

基本給比例方式は、労使ともに判りにくい制度です。退職時の基本給も勤続年数も退職まで確定しません。予測不能であり、管理不可能です。また、世代間の不公平を生む制度です。高度経済成長時代とデフレ経済では毎年の昇給額が異なります。若年層にとって基本給比例方式は不利な制度となるでしょう。

環境変化に耐えうる経営基盤を強化し、社員の将来的な雇用の安定を図るため、経営を圧迫せず、持続可能な制度に改正する必要があります。予測不能なものを掛け算で決めること自体に問題があるのです。

毎年、一定額を確定し、足し算で積み上げていく方式であれば管理可能となるのではないでしょうか。

貢献度によって差をつけた金額を毎年加算していく方式が良い

成果主義の流れに対応し、貢献度を反映できる制度とすることは、会社にとっても従業員にとっても良い方向です。経営目標を認識し、その達成のために行動した人が報われる制度としたいものです。年間の評価に基づき、貢献度に応じた金額を加算していく方式が良いと考えます。「毎年小切手に金額を書いていく」、賞与の後払いのイメージです。

中小企業では従業員に上昇志向を持たせいものです。出すものは出すから働いてくれと言いたいものです。ただ長く勤めれば金額が上がる退職金制度ではなく、経営幹部(役職者)になるか、技術があるかなどを貢献度として、それで差がつくようにしてよいのではないでしょうか。

中小企業ではシンプル・イズ・ベストです。一般従業員であれば入社10年目までは10万円/年、11年目からは20万円/年、30年で打ち止めとしこれを基本退職金とします。課長になれば在任期間中は10万円/年を加算、部長になれば同20万円/年を加算する方式はお勧めです。(役職加算付定額方式)

役職加算付定額方式 計算例
〜40年勤続し、11年目で課長、21年目で部長となった場合〜
基本退職金10万円×10年+20万円×20年=500万円
課長加算10万円×10年=100万円
部長加算20万円×20年=400万円
合計1,000万円


毎年、退職金辞令を交付する

退職までの40年間もお蔵入りにしているから、経営のメッセージが伝わりにくいのです。せっかく出す退職金なのですから、退職金制度の内容を従業員に十分説明しましょう。そして、毎年、従業員に退職金を意識させることが出来たら、社長の思いを伝えることが出来るのではないでしょうか。

賃金改定時に賃金辞令を交付することは多いと思います。年に1回、退職金辞令も交付すべきではないでしょうか。従業員は現時点の金額と今年の加算額がわかります。会社としても、各人の合計が要支給額であり、本年度の拠出額です。毎年確認していくことが出来ます。

退職金辞令
現時点のあなたの退職金は○○○万円です。本年度の加算予定額は○○万円です。

ただし、懲戒解雇、自己都合、退職状況によっては減額または不支給となることがあります。


会社にとって望ましい辞め方とそうでない辞め方で加減算できるようにする

会社の収益を大幅に向上させるような業績貢献があったなど本当に会社に貢献した従業員には特別加算金を出すことを検討してはいかがでしょうか。一方、競合会社への転職や怠慢な引継ぎなど顧客や会社、他の従業員に迷惑を掛けるような辞め方をした従業員に対しては退職金を減額するルールを設け、会社にとっても従業員とっても望ましい辞め方を認識させることも重要と考えます。

 

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